こんにちは。障がい者就労移行支援事業所トランジット麻生です。
障がい者就労移行支援事業所トランジット麻生では、障がいをお持ちの方や難病を患っていらっしゃる方が一般就職するためのサポートを行っています。

早いもので3月になり1年の2割が過ぎようとしています。
卒業式の中止が相次ぎ、私たちを取り巻く社会が落ち着きを見せるにはまだまだ時間がかかりそうです。

卒業、入学シーズンの風物詩といえば「」ですね。
ひな祭りに食べる餅は「桜餅」です。
桜は季節の移り変わりを強く感じさせてくれます。
本日はその「」についてのお話です。

京都で作られる染織物には桜色のものがあります。もちろん色素は桜から取ります。
ではあの淡いピンク色はどの部位から取れると思いますか?

関連したした作品をひとつご紹介いたします。

(一部抜粋)

──なんとも美しい桜色に染まった糸で織った着物を見せてくれた。そのピンクは淡いようでいて、しかも燃えるような強さを内に秘め、はなやかで、しかも深く落ち着いている色だった。その美しさは目と心を吸い込むように感じられた。

「この色は何から取り出したんですか」
「桜からです」

素人の気安さで、私はすぐに桜の花びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際はこれは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいごつごつした桜の皮からこの美しいピンクの色が取れるのだという。

考えてみればこれはまさにそのとおりで、木全体の一刻も休むことのない活動の精髄が、春という時節に桜の花びらという一つの現象になるにすぎないのだった。しかしわれわれの限られた視野の中では、桜の花びらに現れ出たピンクしか見えない。

このように見てくれば、これは言葉の世界での出来事と同じことではないかという気がする。
言葉の一語一語は桜の花びら一枚一枚だといっていい。一見したところぜんぜん別の色をしているが、しかし、本当は全身でその花びらの色を生み出している大きな幹、それを、その一語一語の花びらが背後に背負っているのである。そういうことを念頭におきながら、言葉というものを考える必要があるのではなかろうか。

「言葉の力」 大岡 信(1931 – 2017)

言葉には人の心を動かす強い力があります。

私たちは言葉を聞いたり話したりする中で、一部の言葉だけで判断して行動に移ったり、一部分のことがらで喜んだり悲しんだり、切り取られた一部の情報だけで機嫌が変化することがあって、そのときに全体が視界に入っていないことがあると思います。

全体を見ていないことで失敗や望んでいない結果になることは誰しもあると思います。
そんなときは一呼吸置いて落ち着きましょう。
通所生活、人と人どうしの関わり、就職面接、入社後の取り組みなどの中で、言葉がインプットされた時に部分に意識が行ったら全体はどうか、と眺め直してみるといいと思います。

その時その時の大事なところが見えてくるかもしれませんね。

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